【小さな会社の社員評価】vol.1〜評価作り〜
小さな会社で社員評価を考える場合、次の3つの事前準備が必要です。
- 経営者と同じ価値観、判断基準でモノ・カネ・情報の使い方を示した社内ルールを決めておくこと。
- ルールを守るとどのような会社になっていくのか、会社の未来や経営者の考え方を示すVision・Mission・経営理念を明確にしておくこと。
- どのような段階で仕事を覚えていくのか、自社の学びの段階を考えておくこと。
今回は、仕事の学びの段階と評価の関連性についてお話します。
学びの段階は評価指針
Z人が学び成長するには”4つの段階“がありました。
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 ジャン・ピアジェ
第一段階:感覚運動段階
学び始めの段階です。
周囲の働きかけにより、五感の刺激から物を認識し役割を覚える段階です。
第二段階:前操作段階
学びを醸成する段階です。
物事を自分のイメージを使って区別し、認識できる段階です。自己を中心とした学びの醸成でうろ覚えの段階でもあります。
第三段階:具体的操作段階
学びを活用する段階です。
学んできたことから筋道を立てて考えることができる段階です。
第四段階:形式的操作段階
学びを応用する段階です。
これまで蓄積した知識や経験を応用し、仮説を立てならが結果を予測した行動ができる段階です。
この学びの段階は仕事を覚えていく段階と同じです。
学びの例
例えば、あるリフォーム業の会社の場合、入社間もない社員を一人前の職人として現場に出すには次のようなステップを踏ませるとします。
第一段階:感覚運動段階
学び始めの段階
例えば
問い合わせ ⇒ 現場確認 ⇒ リフォーム内容の確認と工期の確認 ⇒職人の手配 ⇒ 部品の手配 ⇒ 工事 ⇒ 請求書送付 ⇒ 入金確認
という仕事の流れがあった中で、細切れに仕事を依頼されることが多い。その一部分を少しずつ覚えていく段階。
第二段階:前操作段階
教わった内容を醸成する段階。
教えてもらったことはうろ覚えで完璧には覚えていない。依頼される仕事の内容が増えて来る。
例えば、道具の準備や手入れ、清掃などの作業から、実際に一部のリフォーム工事を手伝う段階。先輩の指示があれば作業は出来るけど、自分で考えて仕事は出来ない。
第三段階:具体的操作段階
学びを活用する段階。
学んできたことから筋道を立てて考えることができる段階です。
ある程度仕事の段取りを覚え、ある程度のことは自分で動ける。お客様との工事内容の打ち合わせ、工期を決め部品の手配や職人の手配などもできる。
ただ、これまで経験したことの無い突発的なトラブルはまだ対応が出来ず、先輩の指示を仰ぐ段階。
第四段階:形式的操作段階
仕事の独り立ちの段階。
お客様との工事の打ち合わせから、工期、部品発注、請求書の発行まで行える段階。突発的などのトラブルが起きても、一人で解決できる段階。
このように、仕事の内容と育成の段階を整理しておきます。この内容を使って社員を評価していきます。
評価の考え方〜第一段階の場合〜
評価の考え方は、このように整理します。まず、期間は3カ月間にします。
また、
- 朝出勤してから帰るまで一通りの現場作業が覚えられる
- 職長さんとコミュニケーションがとれている
- 自社の社員だけでなく、関係する外部の方々の顔と名前が覚えられる
など、社員の行動が、第一段階でどこまでできるようになって欲しいか、仕事の状況と期間を決めます。
そこで、社員のAさんは3ヵ月で上記の3項目をクリアしたとします。
Aさんはあなたの考えた通りの結果を出した「標準」社員です。
Bさんは2ヵ月で上記の3項目をクリアしたとします。
この場合AさんとBさんの評価は分けることができます。
また、Cさんは5ヵ月経っても、2項目しかクリアできなかったとします。
この場合、Cさんも他の2人と評価を分けることができます。
同じ時期に入社し、同じような仕事をしていても、仕事の稼働時間や結果からも社員を評価することができます。社員数が少ない、小さな会社はこのような仕事にかかる時間と、仕事の内容、完成度から社員の能力を測り差別化することができます。
まとめ
小さな会社の社内評価は、社内ルールやVision・Mission・経営理念、仕事の学びの段階をベースに作ることができます。
学びの段階は、社員の能力を測る物差しとして使うことができます。社員を教育することだけでなく、評価にも使えるものです。
是非、学びの段階の整理を行ってみてはいかがでしょうか?