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【小さな会社の人材育成】vol.1〜社員教育でも使える学びの段階〜



人は何かを学び習得するには、学びの段階があります。
日本の企業の中で、この学びの段階を社員教育に用いられるようになったのは、2000年以降です。まだまだ、この指導法が使われた歴史は浅く、実施されている企業数も多くはありません。

特に小さな会社では、殆ど浸透していない指導法です。
ただ、学びの段階を知っておくことで、次のような3つのメリットが生じます。

  • 相手の躓いている内容が把握しやすく、学びの軌道修正が行いやすい
  • 指導者が指導の仕方について迷わなくなる
  • 育成時間が短縮化できる


このようなメリットが生じる学びの段階とはどのようなことでしょうか?

発生的認識論

学びの段階として代表的な理論は、アメリカの心理学者、ジャン・ピアジェの「発生的認識論」です。
ジャン・ピアジェは、0歳~12・3歳までの年齢の間で、人が学び成長していくのに4つの段階があると説明しています。

4つの学びの段階“は簡単にまとめると以下のようになります。
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 ジャン・ピアジェ より 

第一段階:感覚運動段階

学び始めの段階です。
周囲の働きかけにより、五感の刺激から物を認識し役割を覚える段階です。

第二段階:前操作段階

学びを醸成する段階です。
物事を自分のイメージを使って区別し、認識できる段階です。

ただ、あくまでも自己を中心とした学びの醸成で「うろ覚え」の段階でもあります。この時点で、学びの確認をしないと間違った情報を覚えてしまう可能性がある段階です。

第三段階:具体的操作段階

学びを活用する段階です。

学んできたことから、筋道を立てて考えることができる段階です。
今からすることの前後を考え、周囲と協同して作業ができる段階です。

第四段階:形式的操作段階

学びを応用する段階です。
これまで蓄積した知識や経験を応用し、仮説を立てならが結果を予測した行動ができる段階です。予想外の出来事が生じても、周囲と連携をしながら課題改善ができる段階です。

人は誰でも、学び・成長をするには必ずこの4つの段階を通ります。
個人スキルなどによって、学ぶ期間に差が生じることはありますが、段階を飛び越えて進むことは無いとも言っています。



学びの大会を利用した社員教育の事例


では、この学びの段階は社員教育にどのように活用されるのでしょうか。

ある整体業を行う会社を事例に説明をします。
この会社に、整体師の資格を持っているが実務経験がない人が入社してきたとします。
その方に会社の業務を覚えてもらう時の学びの段階です。

第一段階:感覚運動段階

先輩社員の働きかけにより、五感を使って業務内容を覚える段階です。
例えば、接客の流れを先輩から教えてもらいます。
教わった内容を電話受付、受付名簿、カルテを使いながら受付業務を覚えていきます。

第二段階:前操作段階

先日教えてもらった受付業務ですが「うろ覚え」の段階です。
電話で予約変更を受けた時に予定表とカルテの変更は覚えているが、担当者に伝えることを忘れるなど、仕事の抜け漏れが生じる段階です。

指導者は仕事に抜け漏れが無いか、内容を確認することが欠かせません。
まだまだ、手放しで新人だけに仕事を任せられない段階です。

第三段階:具体的操作段階

やっと仕事の段取りを覚え、自分で仕事が組み立てられる段階です。自分のことだけでなく、周囲の人のことも考えながら仕事をしていきます。

例えば、お客様がお帰りの際、次回の予約を希望されたとき、担当スタッフにスケジュールの確認をするという仕事の連携が出来ます。

ただ、まだ応用的な経験が少ないため、指導者のフォローが欠かせない段階です。

第四段階:形式的操作段階

独り立ちが出来る段階です。
様々なお客様とのやり取りや、先輩スタッフとのやり取りで仕事に関する知識と経験が蓄積されています。

その蓄積された知識・経験を参考にしながら、仕事の見立てや未来に向けた取り組みが出来る段階です。

このように、学びの段階は新人が会社に入って仕事を覚える段階と一致します。



まとめ

人が知らないことを学び、自分のスキルとして活用できるには4つの学びの段階があります。
このことが理解できれば、いつ何を教えれば良いのか、どのような取り組みをさせて経験を積ませ成長させるのかという、指導のタイミングは見えてきます。

この指導タイミングが、学ぶ側の状況とマッチすることで、育成の効果が表れやすくなります。
是非、あなたの会社でも社員教育に学びの段階を取り入れてみてはいかがでしょうか?

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