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【小さな会社の人材育成】vol.2〜なぜ小さな会社は人材育成に苦戦しているのか〜



小さな会社の人材育成苦戦の理由

2008年、株式会社Campanulaを創業し、小さな会社の人材育成支援をしてきました。小さな会社は人手資金などの資源不足を理由に、人材育成が上手くいかないと悩まれています。

でも本当に苦戦している理由は資源不足ではなく人を成長させる「指導法」を用いていないからです。日本企業で現在のようなキャリア(人の経験)に注目した、人材育成が始まったのは戦後70年前からです。

しかもその育成法は工業界でしか広まりませんでした。
現在のような多様な業種で人材育成が注目され、体系的な学習法を取り入れた指導法が用いられ始めたのはインターネットが普及した2000年代、つまり20年ほど前からです。

では、その前はどのような指導法だったのか、日本の社員教育の歴史をご紹介します。


日本の社員育成の歴史



日本では江戸時代まで、仕事=家業というビジネススタイルが一般的でした。
つまり、子どもが物心ついたその瞬間から、日常生活の中に生活を支える仕事がありました。子どもは遊びながら、家の手伝い感覚で仕事を覚えていきます。

つまり「仕事を習う」という概念はなく、「家の手伝い=仕事を覚えること」という状況でした。中には、自分の家を離れ他の家の仕事を手伝う人もいましたが、基本はその家に住み込み、生活しながら仕事を覚えていきます。

このような仕事の学び方が、今でも用いられている、「見て覚える」仕事をしながら覚える」の源流になります。

明治時代以降、日本に「工業」が誕生しました。工業では一度に大量の人が働き、高度な技術の習得が求められました。従来のように、住み込みをしながら仕事を覚えるような指導法では時間が掛かり過ぎます。

特に、戦争が始まった後は、できるだけ育成時間を短くして、「職人」にする必要がありました。そこで企業外の職業訓練校などで、集団的な指導法の開発や教科書、教材を用いて体系的に技能を学ぶ指導法が用いられるようになりました。

第二次世界大戦後の日本の経済復興には工業界の発展がどの産業よりも重要でした。
その日本の経済産業を支える人材の育成に、これまで以上に短期間で工業の職人を育成するため、アメリカの指導法TWI (Training Within Industry)が導入されました。

TWIとは、アメリカの造船所の訓練責任者だったチャールズ・R・アレン(1919)が職場の指導法として開発した、4段階職業指導法『The Instructor, The Man and the Job』を参考に、米国戦時人事委員会(1940)が第二次世界大戦中、企業内訓練として「人の扱い方」「仕事の教え方」「改善の仕方」「安全作業の仕方」の4つのジャンルをそれぞれ4段階に分け監督者の訓練プログラムとして開発されたものです。

TWIは工場現場における職長、組長などの第一線の現場監督者を対象に行われました。戦後日本の経済復興の基盤づくりを担った指導法でした。TWIの効果を示すものとしてトヨタ自動車の「トヨタ方式」が挙げられます。

戦後、工業界にTWIという学習理論を用い、体系的な指導法が用いられても、他産業との関わりはありません。

工業以外の、商業・農業・建設業など、日本の90%以上の産業は江戸時代以前と同様家族や一緒に寝食を共にする人が「見ながら覚える」「やりながら覚える」というスタイルで仕事をおこなっていました。

このような背景が、小さな会社の社員教育で用いる「指導法」として伝わっているのです。


社内教育の指導法を変える


これまでの、日本ビジネスの背景から「見て覚える」という指導法が根強く残っています。しかし、急激な経済状況の変化と産業技術の進化に伴い、手作業で行っていた仕事は機械化され、新たな人的サービスの仕事が生まれ、仕事の内容は高度で複雑になってきています。

人の育成が江戸時代以前から行われている「見ながら覚える」という指導法…それは、現代の仕事を指導する方法としてマッチしているとは言えません。

本当に、あなたの会社は見てれば覚えられるような単純な仕事なのでしょうか…?仕事をやりながら覚えられるような簡単な仕事なのでしょうか…?
改めて、あなたの会社に合った指導方法を考えてみてはいかがでしょうか…?

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